会ったことない人を信じるとき(2)

令和2年6月2日

しんがきです。

知らない人6人から届いた手紙から
たった1人へ返事を書いた話の続きです。

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前の話はこちら
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会ったことない人を信じるとき

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他の人からの手紙にはなく
彼女の手紙にあったもの。

それは
【ちゃんと しない 文章】でした。

彼女の手紙は、初対面の人に対する
最低限のマナーは守りつつも
【定型文や常套句にたよらない】
つまり【彼女自身の言葉】で
書かれていたのです。

気さくで、
自分を立派に見せようはしない
等身大の表情が
その手紙から伝わってきました。

「ちゃんとした文章」の代表に
社会人がよく使う
定型文や常套句があります。

「いつもお世話になっております」
「お手数になります」
「今後もご指導ご鞭撻よろしくお願いします」

といった、よく使う決まり文句を
【常套句(じょうとうく)】といいます。

「ちゃんとした文章」は安心です。
型があり、便利で使い勝手がよいからです。

それは、言い換えるならば
ちゃんとした文章は
「無難」だということです。

礼儀を欠かない距離感と引き換えに
相手へ届く熱量も
削がれてしまいがちです。

社会人になった私たちは
「ちゃんとすること」を
ずいぶん訓練してきました。

ビジネスメールも、ビジネスマナーも
相手へ敬意をはらい、
相手に失礼のないようにするための作法です。

ただ、
定型文や常套句が連なる文章からは
「その人自身」が
見えてきづらいのです。

何が好きで、何が嫌いか。
どんな生活を過ごしているか。
最近、心が動いた出来事はなにか。
どうしてこの手紙を書いたのか。

それらの微細な思いは、
定型文では浮びあがりません。

「あなたと関わりたい」という
【熱】【想い】は伝わりづらいのです。

ていねいに書かれた文字でありながら
定型文や無難な表現から
すこしはみ出す。

「ちゃんと "しない" 」自分を開く勇気が
彼女からの手紙にありました。

『あ、この人をもっと知りたいな』

相手が開いていたから、
私の気持ちが動いたのです。

自分を開いた文章を書いてきたのは
彼女一人でした。

相手との距離を縮める秘訣は
「最初に、自分から開くこと」

相手の様子を見て、開くかどうか決める。
相手が心を開くまで、こちらの扉は閉める。

という受け身感覚だと、
「リモートトラスト」環境
(離れたままで関係を築く)のは、
むずかしくなってくる気がします。

なぜなら、多くの人にとって
「定型を破るのは怖い」から。

でも、型にはまった無味乾燥なやりとりで
一歩ふみこんだ関係が築けるでしょうか。

「ちゃんとする」という安心で無難な垣根を
飛び越えた勇者に、
血の通った付き合い(信頼=トラスト)が
用意されている気がします。

【今日のしんがき】

換気推奨令和二年。
バスの窓を大きく開けられる喜び。
(今まで遠慮してジワ…っと開けていた)
おでこ全開、初夏の風。