ムダな時間に名前をつけてやる

「何もしてないと
 ムダな時間を過ごしてる気がして
 不安になります」


「スキマ時間ができたら
 次のタスクで埋めちゃいます、
 ヒマな時間が嫌いなんで」


「瞑想しようとしても
 雑念が入りこんできて
 うまくできないです」


(ほぼ雑談です。読みたい人だけ 下へ)


スピッツの
『名前をつけてやる』の
アルバムジャケットが好きです。
あの猫の、赤いの。


ムダ、ってなんでしょう。
ヒマ、ってなんでしょう。
雑念、ってなんでしょう。

 

そうそう。

こないだ、音声再生アプリに
「無音をスキップする」機能が
あるのを発見して
試してみたんです。


話と話の間の「間(ま)」が
サクッ、サクッと削除されて
なるほど、聴き終わるのが早かったです。
これは効率的だ。すごい発想だ。


だけど1時間たたないうちに
聞いた内容忘れちゃった。


何かを言いかけてやめた、その、ま
意を決して息を吸い込んだ、その、ま
ためらいを練り込んだ、つかのまの沈黙
感極まって言葉に詰まった、その、熱

それらを
無音
 =ムダ
  =排除対象

とロックオンした
効率厨な価値観で満たした世界は
コミュ障製造マシンになってしまいそう。



なんの話でしたっけ、雑談です。

(日曜日っぽいなぁ)


無音も、休止符も、ドーナツの穴も
役割があてられていて
「なんもないがある」


雑談=ムダ
 ムダ=無益
  無益=排除

音声再生アプリについている
「無音をスキップする」機能が
言外に放つメッセージは

無音時間はムダであり
非効率であり、排除すればよい

だからかな、最近のトレンドは
行間の少ないストーリーが好まれる。

沈黙を読めないから
すみずみに説明がはいる。
(でないと視聴者の集中力が途切れ離脱される)

心境もダダ漏れ、
主人公の感情はこう解釈してねと
ガイドラインよろしく
モノローグやナレーションが流れる。

映画も倍速、長回しはカット、
動画も倍速、あらすじでカバーされ
まんじりともしない長い夜は
まばたき一つで朝のシーンに切り替わって

そうやって
「なんもない」をつぶして
圧縮するほどに
ムダを減らし効率化をはかれば
与えられた一日の随所に
前よりもスペースが空くはずなのに

次の意識を奪うものが
空いた余白めがけて飛び込んでくる。

あらー


雑談を排除して
雑念を振り払って
雑用を非効率とみなして


起きてる時間みっしみしに
有用情報で詰め込んで
頭がお腹いっぱいに苦しいなら

その状態がもう
“雑”多じゃない?


「何もしてないと
 ムダな時間を過ごしてる気がして
 不安になります」


「スキマ時間ができたら
 次のタスクで埋めちゃいます、
 暇な時間が嫌いです」


なるほど。


しんがきさんがまたなんか言ってる・・・

くらいの感じで聞いてもらえればと
思うのですが、書いてみます。


「ムダな時間」に名前をつけてやる

「ヒマな時間」にニックネームをつけてやる

たとえば

「美味しいワイン醸造中」とか
「味噌を熟成させてます」
「醸すぞーー」とか、長いかな。
いいんです
毎度スマートに要約しなくて


ムダな時間が私たちを醸します。
ヒマな時間が私たちを深めます。

たまにやりすぎて腐るけど、
そしたらまた作ればいいんです。


仕込み、秒で終了!な食べ物とは
また違った
味わいがありそうじゃないですか。


何もしていない(と感じる)時間に

「私、何やってんだろう・・・」
「こんなことしてる場合じゃないのに」

と、罪悪感をつい感じてしまうなら
3回に1回くらいでいいので
ニックネームつけてみませんか。


効率を求める姿勢がさもしくて
非効率こそが豊かさの証である、
わかりやすい二項対立で片付けるより
もっと面白い試みかもしれません。


ムダの再定義。
言葉遊び、概念遊びです。


ヒマな時間やムダな回り道が
ワインも味噌もパンも私たちも
味わい深くしてくれる気がします。


長くなってしまった。
読んでくれてありがとうございます。


P.S.

スピッツの
「名前をつけてやる」アルバムジャケット
この猫の名前を知ってる人は
雑学好きな人かな
https://onl.sc/PNCUfJF