包丁と自転車とコミュニケーション
コミュニケーションには、2方向ある。
自分自身とのコミュニケーションと、他者とのコミュニケーションだ。
授業や講座で「自分自身とコミュニケーションを取るワーク」をすると、手が止まる人が一定数いる。
「自分のことがわからないです」
職場や社会生活で必要な、礼儀正しさや挨拶、敬語など、他者に向けたコミュニケーションはソツなくできても、自分とのコミュニケーションが不得手な人は多いみたい。
「自分がどんな人かわかりません」
「自分の良さ? わかりません(≒ 良いところないです)」
「自分の強みがわかりません」
「自分のダメなところしか浮かばなくて」
「自分のテーマや課題がわかりません」
他者の前でどうふるまうべきか、とか。
周りに迷惑をかけないための行動など、他者目線での学びはやってきた人も多い。
だけれど、いちばん付き合いの長い自分のことがわからない。
ワーク中に困り果てる人がいた。
「自分について、深く考えたことがなかったです」
ですよね。
わたしもそこからのスタートでした。
コミュニケーションを教えるわたし自身が、自分のことがわからない・人のことがわからないのないないから始めた。
長年すったもんだ自己理解と誤解を繰り返して、どうにか楽しく生きている。
コミュニケーションは「スキル・技術」だと教えている。
包丁や自転車と同じ。
うまくできないところからスタートして、場数を踏むとうまくなっていく。
しょっぱなから包丁で美しい飾り切りはできないのと同じで、自分との対話の質量が少ないうちは、自分のことがわからないのは自然なこと。
自分のことがすっかりわかる魔法も、他者と完璧にわかりあう魔法もないけれど、やるほどに上手くなる。魔法のように消えない技術。
魔法のように消えない技術だ。
10代でも、50代でも関係ない。
見た目はすっかり大人でも、自分とのコミュニケーション初心者なら「わからない」からスタートする。
「自分がわからない」けれど「自分をわかりたい」。
その気持ちがあれば進めるコミュニケーション道だ。
何が好きか、なににモヤモヤするか、今日優先したものは何? それはなぜだろう。
小さな問いを「わからない」「なんとなく」でかき消さず、対話を重ねていきましょう。
わたしも道の途中です。
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