見えない糸電話
ひさしぶりの人たちと話す機会があった。
仕事での関わりはない。
友だちでもない。
親しい関係かといえば、そうでもない。
その人たちとの共通項は「経営者」という肩書きのみ。
一般名だと、そういう括りかたになる。
けれど、いわゆる異業種交流会で感じるような、薄くあわい距離感で互いを売りこみ合う関係性ではない。
それぞれバラバラの分野や業種で、接点はなさそうなのに、なんというか、なにかがどこかでつながっている。
こう書いていてなんともぼんやりした表現だなぁ、と自分でも思うけれど、今のところそうとしか言えない。
「なにかがどこかでつながっている」人と話すと、おもしろい。
一年以上会っていない間の近況報告を聞いても、相手がいま見ている景色が、自分の視野になじむまでがはやい。
実際のところ、「経営者」かどうかは、まったく関係ない。
肩書きにかかわらず、それを感じる人はほかにも何人もいる。
あえて経営者という言葉を使うなら、「自分の人生」を生きようとする人はみな、人生の経営者だと思う。
10代にも、70代にもいるし、昭和平成令和、ゆとり、悟り、Z世代関係なくいる。
わかりやすい信条はないから、多数ではない。
50人中1人か、2人くらい。
たくさんではない。
だけど確かにいて、探せばひょっこり出会う。
そういう人とつながると嬉しい。
「なにかがどこかでつながっている」と感じる。
そういう人とは、目指したいもの、伝えたいこと、抱える課題が具体的には異なっても、本質は近い。
大切にしたいものを煮詰めて残る結晶が、似たかたちをしている人たち。
お互いの人生、それぞれの山を登る登山者の気分だ。
自分の山を登ると決めた者にしか与えられない不思議な糸電話が、たまにピンと張ってつながる。
選んだ山の高さはそれぞれ違うし、登山計画ももちろん違う。
やぶの状況や険しさ、休憩ポイント、視界の開けかたもそれぞれ違う。
だけど、山のてっぺんで眺めたい景色をそれぞれ持っているのは一緒。
孤独な山道の途中のしんどさを楽しむ表情が、どこか似ている。
どんな感情も自分で選ぶ。あるいは選び直す。
感情を他者に明け渡さず自ら引き受ける人の顔つきは、引き締まっている。
「弱い紐帯(ちゅうたい)」という言葉がある。
趣味や学びのコミュニティや、なにかの縁でつながった細い縁。
よくも悪くも利害関係から離れていて、ある意味それは、互いへの期待値が低いあらわれでもある。
ときどきおせっかいしても、依存度は低め。
ときどき助けたり、助けられても、お返ししないし、お返しを求めたりもしない。
家族でも恋人でも友人でもない、弱く細いつながり。
それが、強く濃いつながりよりも自分を支えるときがある。
他人以上、友だち以下。
知人以上、仲間未満。
そんな弱いつながりの誰かに、気づけば励まされている。
知人とか、仲間とか、あえてカテゴリに分けなくても、つながっている。
切れそうな細い糸は、ときどきどこかの山小屋か山の中腹でピンと張ってラインがつながる。
「久しぶりですね」
「生きててなにより」
「あれから実は」
お互いの話をして、ふいに糸電話は切れる。
それぞれの孤独な山道に戻る時間。
登山する者どうし、またそれぞれのリュックをしょって靴紐をたしかめる。
細い紐を結び直す。
目指す方向を見あげる。
あっちに見える雲は荒天のきざしかな、山の天気は変わりやすくて天候すら共有できない。
背負ったリュックの中身は誰とも分かち合えない。
だけど見えない糸はつながっている。
また話しましょう。
それぞれに目指したいものがあるかぎり、別々の山を登りながら、糸をつたってどこかで会える気がします。
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