見えない氷山、水中のバタ足

手帳の上を走る文字が急にかすれだし、
ボールペンのインクが
尽きたのに気づいた。

黒インクのカートリッジを
取り替えて1ヶ月も経たずに
空っぽになっている。

そんなに書いたかな、と
A4ノートと手帳を開くと
確かに書いていて、カオスだった。

読めはするものの
何言いたいかいまいちわからない文章、

日記のスペースが足らず
書くにつれ枠内に
詰め詰めに押し込まれる文字、

思考回路が四方八方に飛んだ
とりとめない言葉の羅列

もしも
このノートを失くして他人に見られても
誰になんの得もないだろう。




これまでに書いた文字を
「オモテに出る文字」
「オモテに出ない文字」の
2種類に分けると、割合は
1:9 いや
0.5:9.5 くらいだ。


潜在意識(4-5%)と
顕在意識(96-95%)の
氷山モデルの割合に重なる。

「意識」と「無意識」
「言語」と「非言語」
「見える」と「見えない」etc

海面に浮かぶ「見える氷山」と
海面下に沈む「見えない氷山」で表される
氷山の断面イラストは
いろんな説明シーンで使われるので
見たことある人もいるだろう。


わたしたちがオモテに出す
見える部分はほんのわずかで、
オモテからは見えない部分が
わたしたちのほとんどを占めている。

たとえば、わたしの
手書き文字とタイピング合わせて、
オモテに出る文字と
オモテに出ない文字には
こんなふう。


■ オモテに出す文字(5%


・facebook
・Instagram
・公式ブログ
・note
・メルマガ(今読んでいる文章です)
・教室のホワイトボード


■ オモテに出ない文字(95%)

・手帳
・A4ノート
・本の空白に書き込む文字
・書きかけの原稿
・スケッチブックの落書き
・「下書き」状態のメルマガ
・紙ナプキンの走り書き


もしノートを無くして
他人に見られても、
たいした秘密もないし
ありふれたアイデアばかりで
わたし以外にはきっと
なんの意味も価値もない。


インクがぐちゃぐちゃに走った痕で
埋まったノートの文字群は、
周囲に見える自分を押し上げる
見えない氷山だ。
自分だけに意味をもてばいい。


帰ったら新しいインクに取り換えて
水中でバタついた証の
空っぽのカートリッジを捨てよう。
ゴミだけどゴミじゃない、
思考を割り落として役目を終えた
卵の殻みたいなもの。


誰かがSNSで書いていた。

「すごい! て言われるけど
 何もすごくないしスマートでもないねん
 見えてないだけで
 足バタバタしてる、いつも」


底抜けに晴れた投稿や
平和な表情で笑う写真の、奥で
そうではないあれこれを忍ばせて
私たちは人生を編集している。


きっと、多くの人にとって
見えるものは束の間のステージ
見えないものは楽屋裏の段ボール
1 : 9 くらいの光と闇
ハレはほんの少しで
ほとんどがケなのだと思う。

もしも輝きが強く幸運そうな人がいるなら
その何倍も濃い闇を飲んだから
強い光を放っているんじゃないか。


誰かの文章や対話や動画など
「オモテに出たもの」
に触れると、
その裏にあるであろう
膨大な「出なかったもの」を想像する。


言った言葉の裏にある
言わなかった一言

書いた言葉に上書きされた
書かなかった思い

笑顔で切り替えた
誰にも見せるつもりのない表情

そういう楽屋裏の段ボールや
水中のバタ足を勝手に想像しながら
しずかに励まされる水曜日の帰り道でした。





すいすい水曜日



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