本で日帰り旅2
本を自由に読めるカフェの、隣の席で
アラブ系の顔立ちをした男性が
村上春樹さんの小説を読んでいた。
隣でわたしは
フロイトと論理思考と
フレームワークの本を読んだ。
超入門編 / 基礎編レベルの。
どれも、これまで接点がなくて
未学習ジャンルで
なんで手にしたのか
脈絡のない本ばかり。
局所理論ってなんだ???
「無意識」と「前意識」と「意識」の
くだりで、ページが進まず
うつらうつら夢を見る。
5% わかったような…
あっさーい状態で本を閉じる。
(たぶんほとんど理解していない)
面白い。難しい。
理解度よりも
これまで関心なかった本に
手を伸ばしてみたこと自体が
面白い。
なぜそれを読みたいと思ったのだろう。
(なんとなく……)
仕事や趣味など
「目的ありき」で選ぶ本と違って、
なぜか知らんけど
気になって手を伸ばす本が
面白い。
なにげなく手にした
一冊の本をきっかけに
意外な行動につながり
予想外な展開が起きた経験、
これまでに何度もあったな……
と思いながら
次のページをめくったら、そこに
今の状況が説明されていた。
”「直観」
個人のこれまでの経験や
体験の集積から導かれる
瞬間的なひらめき”
☆
隣のアラブ系の彼は
小説にシャープペンシルで
ていねいに線を引きながら、
長い時間をかけて
食い入るように読んでいる。
分厚い本に小さい字。
静かに没頭して読んでいる。
ふと、スマホで何かを調べ
本の文字と照らし合わせ、
外の空を見上げて、
再び本に目を落としていた。
本に没入するのも
日帰りの旅だなと思う。
著者の世界観を旅するのだ。
あの人は何をきっかけに
その本を手にしたんだろう。
本でどんな世界を旅してるんだろう。
本の日帰り旅ばかりして
仕事がたまってきた…
(やること放置の読書は現実逃避とも言う)
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