「終わり」を意識する12月が始まる
しんがき佐世あと一ヶ月で2025年が終わる。
長かったようで一瞬だったような今年が終わる。
飛行機の中ですらネットが繋がり、日々のやることは連綿と重なる。
やることを終え切らないまま、次のやることが積み重なっていく。
途切れる間も、一息入れる間も、意識しないと塗りつぶされていく。
何かが始まったまま、何かが終わらないまま、さまざまなタスクがどんどん重層的に、心の余白を消していく。
何かと何かの終わりに敷かれていた心の余白が消えると、「終わり」も消えていく。
終わりがないと、自力で流れを切り替えにくくなる。
始めるのと同じくらい、終わるのもエネルギーがいるものだ。
むかし誰かが発明した暦は、「終わり」を意識するためなのかもしれない。
年末と新年の始まり。
年度末と新年度の始まり。
2025年12月31日23:59と、2026年1月1日0:00の間で、「時」の色や濃度や性質が変わるわけではない。
わたしたちは理屈では知っていても、一方で、年をまたぐときに明らかに変わる空気を感じとる。
節目は、わたしたちに何かを終わらせたり、けりをつけさせたり、新しく始めさせる力がある。
時に引かれる区切りのおかげで、何かを手放したり、決意したりしやすくなるのかもしれない。
節目があるから走る、止まる、次を考える。
いろいろあった一年がもうすぐ終わるな、と。
心の準備をし始める。
ふとそう思うときが、余白を味わう瞬間なのかもしれない。
どんな一年だったか。
後ろを振り返るような、前を向いて駆け抜けるような、師走が始まる。
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