「なんとかパ」と時間どろぼう
「カロパ」という言葉があるそうだ。
カロリーパフォーマンスの省略で、食べ物のカロリーに対して栄養バランスが良いものを「カロパが高い」と言うそうだ。
カロリーは控えめ、つまり太りにくいのに栄養価が高い食品を指してそう呼ぶのかな。添加物や味わいや喜びはさておいて。
となると、太りたくてカロリーが欲しい人にとっては、カロパが高い食べ物は歓迎されないのかな。わかったようなわからないような…
「スペパ」なる言葉もあるらしい。
スペパ。パスタ。ベスパ。噛んだ捨てたみたい。
「スペースパフォーマンス」の略で空間対効率、場所を占める割合と役に立つ度合いをはかる造語だそうだ。
ソファの座面下が収納になってて省スペースに大容量、とか。
「コスパ」「タイパ」など、「なんとかパ」シリーズの造語が生まれる背景は、効率化だろう。
費用対効果、時間対効果、空間対効果。
「制限(マイナス)の割に効果(プラス)が高い」と良しとされる価値観。
忙しいから手っ取り早く、とか、余裕がないから一気に、とか。
パパッと、時短で、楽して得する、とか。
そういう気分が、高い効率性を求めて「なんとかパ」の物差しを作る。
効率化にかなうアイデア商品やサービスが生まれる。生まれたサービスを利用するととても便利で生活が合理的になる。
時間が短縮でき、スペースが短縮でき、労力が短縮できる。
それだけいろいろ縮められたら一日が長くなって、心に余裕が持てそうだ。
なのに忙しさは減らない。縮めて生み出した時間はどこにいったんだろう?
『モモ』の ”時間どろぼう” を思い出す。
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時間どろぼう「灰色の男たち」
「時間貯蓄銀行」からやって来た
彼らの目的は、人間の時間を盗むこと。
人々は時間を節約するため、
せかせかと生活をするようになり、
人生を楽しむことを忘れてしまいます。
節約した時間は盗まれているとも知らず……
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「パフォーマンス」が「性能」「効率」「成果」を意味するからだろうか。
すごく便利で、コンパクトで、雑味をとことん取り除く「なんとかパ」重視の生活は、なんだか自分が効率化重視で設計されたロボットになったような気がする。
それほど効率性を求めるなら、いちばん効率的なのは「生まれてすぐ死ぬこと」だと養老孟司さんが言っていた。いちばん合理的で効率的だと。
だけど、幸せや喜びはない。味わう前に死ぬのだから。
幸せを求めて効率化を加速させたあげく、「それで幸せか」幸福の尺度を手放してしまうあべこべさを、養老さんは皮肉ったのだと思う。
心の豊かさ、幸せを感じるかどうかは、なんとかパとは違う次元で捉えないとわからないらしい。
わたしたちは、コスパやタイパで作られた便利な生活を、たいした労力もなく受け取れる有難い国に生きている。
だからこそ、真逆の不便さや非効率な「なにか」が必要だ。
「なにか」は、人によって違うから、もしも誰かに「それは無駄じゃないか」と言われてもぜんぜん気にしなくていい。
誰かにとって無駄なものがその人の宝物なのだ。
無駄な時間、道草、遠回り、遊び、余計、余分、ヒマ、ぽっかり空いた感覚、ドーナツの穴。
なんとかパの対極にある、なんもないものを離さないでおこう、と思った。
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