引き出し4つめ・自分の理解を超えるもの
引き出し4つめはタオル類の整理。ぼろぼろバスタオルも雑巾いき。長年ありがとう!
猛暑でペースを落として動く今日この頃、鍼治療の反動もあってか体が重たく感じます。
不調を治すために、体修理工場に持ち込まれた修理品のような気分です。
肉体と、心と、思考をいったんバラバラに分解し組み直す作業台が診察のベッド、そんなイメージ。
不調を誤魔化して無理に進むのではなく、行動を止めて、不具合箇所を探り当てて治すメンテナンスです。
しろうとの理屈で考えてみれば、皮膚に大量の鍼を刺しこんで自然治癒力を引き出すとはすごい発想です。
鍼を刺して体を傷つける行為の、目的は体を治すため。
治すために傷をつくる、真逆のアプローチ。
信頼がないとできない関わりかただよなぁ。
人間関係やコミュニケーションも似ている気がします。
道ですれ違う知らない人と、傷つけ合うことは基本できません。
互いに踏み込んだ関係ではないからです。
関わりの過程で、相手を傷つけたり反対に傷つけられたと感じるとき。
信頼関係がベースにある上で、関係を治(直)そうと踏み込み合うコミュニケーションで生まれる傷は、「人と人との間」つまり人間を根っこから直すために必要なプロセスなのかもしれません。
治療鍼を刺す痛みは、傷つけるのが目的ではありません。治すという愛です。
相手に踏み込む痛みも、傷つけるのが目的ではありません。理解という愛です。
それを相手と了承がとれているか。
了承できないなら、愛と真反対の恐れをベースに踏み込んでいるのかもしれません。
だとすれば傷はただ、痛いだけです。
☆
鍼が数百本刺さったわたしの身体の上で、先生がそっと空中をかき回します。
はたから見たら不可解な動き。
「それ何ですか?」と訊いたら「鍼穴から上ってくる熱気を絡めとってます」と(!)
露店のわたがしの機械からわたあめがふよーんふよーん躍り出るように、鍼穴からいっせいに熱気が出ているらしい、マジか!
とっさに浮かぶのはもののけ姫かナウシカか、ジブリ映画のワンシーン。
わたあめを箸でくるくる絡めとる要領で空を回し集めて、毒の排出を促すそうです。
例えばそんな説明を聞いて「根拠はあるのか、エビデンスは」と怪しく思う人は、鍼治療に来なくなるそうです。
自分の理解を超えたものや、証明できないものを認めないスタンスなのかもしれません。
「自分が理解できる範囲で行動したい人は、証拠が欲しいのかもしれないですね」
わたしが言うと、鍼の先生が「ああ。証拠とかエビデンスって言葉、苦手ですね」と答えました。
それから、見えない熱気を丸め終わってベッド脇に払い落とす仕草をして、鍼を抜き始めました。
数字や言語で説明できる限界を知っているので、見えない「わたがし状の何か」も普段は言わないらしい。
論拠や根拠を意味する「エビデンス」は、元は医療用語や学術用語だそうです。
データの数字や分析で裏付けられるエビデンスは客観性を重んじる一方で、万能ではありません。
「なぜかわからないけれどそうなのだ」の存在は、客観性に乏しいため「ない」ことになるからです。
瘀血(おけつ)の色が、健康な血の色と違うと直観的にわかっても、エビデンスの尺度では測れません。
わたがし熱気をくるくる絡め取って排出すると体が快方に向かう感覚も、目には見えません。
数字や言語など見える手段だけで、今起きている世界をとらえることは不可能です。
ですが生活していると、時計や評価や数字や文章など、表現可能で見えるものの比重が高まりやすく、見えないものをおそろかにしがちです。
かといって、見えないもののみをよすがに生きるのは社会的に難しい。
意思の疎通が難しくなるからです。
理解できるものと理解を超えたもの。
見えるものと見えないもの。
どちらもバランスをとりながら、激動の流れに乗っていこうと肩のアザを撫でる夏です。
体は見えても、内なる情熱は見えないもんな。
********************************
【相応しい「追い風」を続ける】
この方におすすめです。
・生まれもった無意識や特性を知りたい
・これから訪れる「節目」を知りたい
・思考を整理して、理想の自分に向かいたい
・状況の区切りを図りたい
・再スタートチャンスを掴みたい
・モヤモヤをクリアするきっかけが欲しい
・リスタート期に素直なポイントを知りたい・自分らしい
「幸せな人生」を考える糸口を知りたい
お試し版セッション(25分)
こちらからお申し込みできます。
セッションを受けた方の感想が読めます
https://www.reservestock.jp/randing_pages/user_recommend/44812