【洋上日記】2023年7月6日 船旅91日目 0と100のあいだ

気温 22℃ 海水温 21℃
横浜から 26555マイル
時差調整あり -1時間

ホノルルに向かって航海中


3時半に起きる。

豆腐屋さんより遅いか。
ノルウェー編を書きはじめて途中で寝たのが1時だったから、2.5時間睡眠。
アラームなしに起きる心が続きをしたがっている。
書きあげたがっている。
体を起こして、ノルウェー編の続きを書かせてあげる。

5時半。
飲み水を補充しに水筒を手に14階に上がると、早朝から人が多い。
なんでだろうと思いながら水をみたして、通りがかった台湾人のくまちゃんに聞いたら、6時半だった。

今夜におこなう時差調整の設定を勘違いして、昨夜はやばやとマイナス1時間巻き戻したらしい。
あれ、じゃあ3時半に起きたと思ったのは4時半だったのか。

時速30kmで経度をまたぐ旅路。
船旅ならではの小刻みな時の巻き戻しかただ。
不定期な時差調整に慣れたつもりでも、たまに今の時間がわからなくなるときがある。

時計の針を進めて5時半を6時半に修正すると、1時間が消えた。
錯覚なのに、失ったみたい。

部屋に戻ってノルウェー編(1)を書きあげ、テキストを日本へ送った。

7時過ぎにヨガストレッチへ。床で半分寝ていた。
8時過ぎに朝食へ。食べながら眠りそうになった。

9時にココちゃんとコラボ自主企画の打ち合わせ。
今日は12時半からのコラボ企画と、夜9時半からの書く瞑想ワークショップ自主企画と、企画が2つ。
バンド練習もある。
ワークショップのあとは、夜10時からぺぺのセッションもはいっている。
てんこもり。
予定が詰まっている。

船はホノルルに向かっていて、ここ数日は涼しくていい気候だ。
アイスランドで買った猫パーカの出番ふたたび。うれしい。これ好き。

11時に自主企画の申請に行く。あいかわらず人が多い。
7月9日にワークショップの枠を確保できた。

12時半から1時間、ココちゃんとのコラボ「自己肯定感」自主企画を開催した。


ぺぺとマリアも参加してくれた。
が、初の企画で講座内容をつくるのでいっぱいで、英語のスクリプトの準備が出来ていない。

「さよちゃん、どうも~」と入ってきたTに声をかけた。

「T、お願い。CCしてくれない?」

船には、CC(コミュニケーション・コーディネーター)と呼ばれる専門スタッフたちがいる。
日本語・英語・中国語・スペイン語と外国語の通訳をする役割だけれど、ただの通訳ではない。
その名のとおり「コミュニケーションを調整する者」として、各国の文化や背景をふまえて真意の伝わる言葉の架け橋をわたす。
語学力や言語化能力の高さだけでは務まらず、異文化をふまえて他者への敬意や想いも推しはかり「伝わるように伝えて」豊かな交流を目指すプロフェッショナルだ。

クルーズディレクターの田村美和子さんが「CCは私の憧れです」と言っていた。
同感です。

いつもは書く瞑想ワークショップにリピート参加するぺぺやマリアのために、日本語のあとに英語で伝えるやり方を一人でこなしていたけれど、今回は初めてのコラボ企画。
1時間で2つのテーマをあつかい、講座進行と通訳まで兼ねたら時間が足りずにどれも中途半端になりそうだった。

で、Tにその役割をぶん投げる。
ごめんT。君ならできる。頼んだ。

CCではなく、大学を休学して乗船した一般乗客のTは、いつもののんびりした声で「え・えええ~」と笑いながら「じゃあ、やってみる」と引き受けてくれた。
ぺぺやマリアと同じテーブルで、スマホや紙とペンを駆使しながらCCをしてくれた。
表現を探しながら誠実に彼らに説明している姿が頼もしかった。

ありがとう。
めちゃくちゃ助かった。


台湾人の参加者の方4人には、最近知り合った日本語の堪能なありすさんが中国語のCCを進んでしてくれた。
まったくの打ち合わせなしに、笑顔で通訳やワークをこなし、中国人のテーブルにもなごやかな環境をつくってくれた。
ありすさん、ありがとう。

英語と中国語のたのもしい助っ人のおかげもあり、ココちゃんのパートと私のパートでそれぞれ、自己愛と自己肯定感のレクチャーをおこなう。


自身の体験をふまえて「自分を愛することの大切さ」を伝えるときのココちゃんのエネルギーが高い。
ピースボートスタッフであり、プロのダンサーとしても船内でちょっとした有名人の彼女の話に、参加者が聞き入っているように見えた。


24名の方が参加してくれた。
思っていたより多い。
参加してくれてほんとにありがたいや。

一方的なレクチャーだけだと学びを実感しづらいので、参加型の構成にした。
ワークや、気づいたことのシェアを参加者にしてもらうなど、あっという間の1時間。

最後に「いいですか?」ワークをした。
解き放つ、赦しのアファメーションを一人一人の参加者に行ってもらう。

役に立たなければならない。
ちゃんとしなければならない。
人に迷惑をかけてはならない。

程度は違うがそれぞれ抱いている「私は〇〇でなければならない」という思い込み。
人によっては呪いにもなる長年のそれを一つ選んでもらい、表現をひっくり返す。


「私は、いい人じゃなくても生きてていいですか?」
「いいですよーー!」

「私は、役に立たなくても生きてていいですか?」
「いいですよーー!」

「私は、ちゃんとしてなくても生きてていいですか?」
「いいですよーー!」

「私は、欲張りでも生きてていいですか?」
「いいですよーー!」

「私は、バカでも生きてていいですか?」
「いいですよーー!」


周りの人たちが、いっせいに赦しの声をかけ、温かい拍手を送りあう。
ほほを少し上気させている参加者の方もいた。
ココちゃんが「うわー、やばい、やばい。最高!」と跳ねていた。

ひととおり終わった後「しんがきさんは?」と訊かれた。
参加者の方々に向けて、声のボリュームを少しあげた。


「私は、人に価値を与えなくても生きてていいですか?」
「いーですよーー!」


体がぽかぽかする。



13時半、無事に終えたココちゃんがほほをピンクに染めて「よかったー! 楽しかったー! ありがとう!」と笑った。
私もやってよかった。楽しかった。
汗びっしょりだ。
参加者の皆さんも楽しんでくれたならいいな。

お互いをねぎらいながら、ココちゃんと参加者のYちゃんと3人で昼食。
Yちゃんとお昼ごはんを食べるのが久しぶりで嬉しかった。
昨日のダンスフェスで、私が彼女の動画を撮っているのに気づいたらしい。

「さよ、ベスポジ(ベストポジション)におったよな」
「うん、ちょうどいい席が空いてた。Yちゃんの動画撮ったからあげるね」

社交ダンスを真剣に練習する姿をずっと見てきた。
私は社交ダンスをしないので、Yちゃんの行動エリアやダンス仲間とのつながりは薄く、ふだん一緒に過ごす時間は少ない。
彼女の練習風景を見ていたわけでもない。
けれど、レッスンに出て、さらに自主練習して、オープンデッキで、旅先でステップを踏んで、なりたい姿に向かってコツコツ取り組む姿は、はたから見ていてかっこよかった。
ダンスフェス本番の彼女はステージの真ん中で、いつも通り背筋がしゃんと伸びていて、美しかった。
エアドロで送った動画を、少し照れながらにこにこ眺めるYちゃんは、かわいかった。

ずっと働き詰めで念願かなって乗ったクルーズ、縁あって乗船一日目の彼女と、7階デッキで知り合った。
彼女は寒そうに足を小刻みに動かしながら、神戸港で見送る家族に手を振って微笑んでいた。
Yちゃんとも、出会えてよかった。

夜9時半、いつもの自主企画『思考スッキリ書く瞑想ワークショップ』を開催。

昼間の企画だけでなく、ぺぺとマリアが夜も参加してくれた。
OJさん、Fちゃん、Sさん。
計5名の参加。
ありがとうございます。

初参加のSさんは船のスタッフで、アメリカ在住の語学堪能な方。

「初めて参加して、面白かったです。ノートに書きながらいろいろ出てきました」

と感想をいただいた。

「さよさんの英語すごいですよ、すばらしいと思います。
自己肯定感の講座やってほしいです、次は参加します」

ネイティブ並に英語を話す人に英語力を褒められると、こっぱずかしくて全力で否定したくなる。

自己肯定感の講座やる人が全力で自己否定してどうすんのさ。

その気持ちをおさえて、ありがとうございます、と笑う。
前より話せるようになったこと。
もっと話したいと思って行動している意欲を認めよう。

英語ができる / できない の0か100じゃなく、そのあいだにあるグラデーションの1から99を数えよう。

ノートをバッグにしまったぺぺとマリアが、私たちのところにやってきた。
Sさんに「参加してよかったでしょ?」と話しかけた。
よかった、とSさんが笑う。

ぺぺが「サヨはぼくたちのグルだよ」と言った。
グル? 師匠ってこと? 私が? 
全力で否(略)・・・こらえて「ありがとう」と返す。
ぺぺのとなりでマリアがうなずいて、にっこり笑った。

夜10時半からぺぺのセッション。
夜風の吹く12階プールデッキ横のテーブル席は、ほとんど人が通らず静かだった。
英語で個人セッションをするのは人生初だ。

セッションを受けた方からよくいただくフレーズ

「そのとおりです。なんでわかるんですか?」

それを英語で聞く日がくるとは思わなかった。


自分のボキャブラリーの限界を感じながら、汗かきながら、言葉を探して例え話をまじえながら必死で伝えた。

ぺぺの資質、幸運のありか、本人も気づいていないであろう強み、美点。
人生の課題になりやすいテーマ、これからの方向性のヒント。
対人関係のテーマ、次のライフステージへ切り替わるタイミング、など。

下船後にいくつか用意された選択肢のなかから、「旅しながら仕事をしたい」というぺぺの背中を押すような、追い風の流れを見つけた。
そのことを伝えると、ぺぺが確信したようにうなずいた。

セッションを終えて、ぺぺに感想を聞いた。

「こういうセッションをこれまで受けたことなかったよ。なんでわかるんだろうね。どうやって学んだの?」
「先生に半年間学んで、あとは独学だよ」
「とても面白かった。自分について深く知れた気がする。動いてみるよ」

そう言ってくれて、ありがとう。


自己理解が深まるにつれて、他者理解も深まっていく。

私は、他人とあたたかな関係がうまく築けず、自分の気持ちも人の気持ちもわからなかった。
人と目を合わせて話すのが今よりももっと苦手で、自他ともにコミュニケーションを半分あきらめていた。

考えすぎて沼にハマり動けなくなり、動けない理由をならべて身を守るヘタレな私を、私がいちばん嫌いだった。
そういう闇の中でもがいた時間がこんな果実を実らせる。

自己肯定感を教える私が、いちばん求めている。
誰に求める? 私自身に。
私は私と両想いを目指す。


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